第一回秋田県「きりたんぽ鍋」


ナベラボでは定期的に鍋文化研究会を行い、鍋を中心とした、日本の食文化についての意見交換会を行っています。
意見交換会は、日本全国都道府県ご当地鍋を食べながら行われます。
第一回秋田県の「きりたんぽ鍋」からスタートしました。
民間会社の都道府県別意識調査「好きな鍋ベスト3」では他県が一般的な鍋をランキングしたことに比べ、唯一ご当地鍋である「きりたんぽ鍋」が1位であった点に注目しました。

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きりたんぽの語源は、江戸時代に南部藩主が花輪地方を見回った際に、藩主をもてなすため、食事に木こりや漁師たちの弁当にもっていく「わっぱ」の飯をこねて棒の先につけてたき火で焼いて提供したところから始まります。
藩主がおいしいと喜んで料理名を問うたところ、短穂槍(たんぽやり:短い穂のついたけいこ用のヤリ)に形が似ていたのでとっさに「たんぽ」と答えたところから「きりたんぽ」になりました。
もともとは、県南の米どころで農民たちが、「だまこもち」といううるち米を炊いたものを潰して丸めて鍋に入れていたようですが、それが県北の猟師たちに伝わり、携帯しても互いにくっつきにくいように、木に丸め付けてたき火で焼いたものと思われます。
鍋のスープは、鶏ガラだしに醤油味。他の具材は、鶏肉、ごぼう、舞茸などのきのこ、白滝、セリ(根っこも使うと、味・香りが良い)など。もともとがごはんなので、〆に雑炊などは作りません。
「きりたんぽ」は煮すぎると崩れるので、鍋に入れてから数分を目安にしてください。反対に「だまこもち」は、15分以上煮て、味をしっかりしみこませてから食べていただきたいと思います。

品川区にある【あきた美彩館】では、「きりたんぽ鍋」を頼むと、この「きりたんぽ」と「だまこもち」の両方が食べられます。
みなさまも、ぜひこの「きりたんぽ鍋」を楽しんでみてください。
http://r.gnavi.co.jp/ga4k500/
(文章 料理研究家安井レイコ)